とげとげ★先生の教育本フォトリー日誌

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忘れられない子ども達 A男 続き

彼との思い出で一番忘れられない出来事がある。
でもそれは、A男と再会しても私は絶対口にすることはないだろうと思っていた。
驚いたことにA男からこの話しをしてきた。
それは、「あの時、なぐっちゃったよね。あの時ずっと後悔してたんだ・・・」
そう、その出来事とは、私がA男に殴られたことだった。
二人の距離が近くなり、引くに引けない言い争いとなり、「そうやって暴力で解決するのか!」
「できるものならやってみろ!」と勢い余り、A男は私に手をあげてしまった。

A男は母子家庭であった。
A男はその母親に暴力をふるっていた。
母親自身も、息子のもつ不登校の悩みへ十分に対応できず、一緒に巻き込まれてしまっていた。
A男に殴られた瞬間、母親の気持ちが身にしみた。
しかし、私はそれがA男にとって良い指導だと思っていた。
私自身、彼との関係に一線を越えられたと勘違いし、少し自負もあった。

アドバイザーの精神科医の先生は、「割れたコップは二度と元に戻らない」と、
一度このような関係性になってしまったら、なかなか抜け出すことが難しいことを私に諭してくれた。
そのときになって私は「はっ」と気がつき、深く反省した。
なぜなら、私自身の中にも彼に対する親近感と合い並び、
同じ程度の嫌悪感が芽生えていたからだった。

この事件があった翌日、A男は相談室を休んだ。
私自身も距離をおけることで少し心に余裕が持てた。
その次の日、A男は何気ない様子で相談室に来ていたが彼は話しをしなかったし、
私自身、まだ心が整理できず、彼に話しかけることができなかった。

そんなとき、いつも相談室で続けていた1冊のノートが私たちを助けてくれた。
毎日、相談室に来たら一言書き、それに私がメッセージを入れる交換ノートだ。
彼はそこに、この出来事については直接触れていなかったが、
彼本来の持つ内面の苦悩と申し訳なさそうな様子が素直に伝わって来るメッセージだった。
その後は、他の仲間の助けもあり、いつの間にか和解していた。
この事は、私自身、とても辛い思いをしたが心理臨床に関わることの重さを知った苦くい思い出だった。
このとき、A男は中2の14才、私は23才だった。

久し振りの再会の場で、酔いも助けたのか、この出来事を彼は自分から話しをしてくれた。
「あのとき、ずっと後悔していたんだ・・・」
「それに知っていたと思うけど、母親にもね暴力を・・・ね」
ぶつぶつと途切れがちに話す姿だったが、彼は過去を過去として訣別し
やっと今だからこそ整理できているようだった。
話し終えた後の、にこっとした笑顔は、思春期に経験した回り道に対する引け目は全く感じられなかった。

酔いも回り、語り口調になった私は、A男にどんな思いを持って仕事をしたいか?と聞いてみた。
「俺は、今までいろんな人に迷惑をかけたから、ちゃんと協力をして仕事をしたい」
「そして、誰かのためになるエコの仕事をしたい」
「最後に、すごい人をたくさんまねて、えらい人になりたい!」
と語ってくれた。
「逞しく成長したなぁ」と感慨深く感じた。
彼の持つ思いを大いに勇気づけ、A男と別れた。
ついつい、飲み過ぎてしまい足下がクラクラとしていたが、とても幸せな気持ちでいっぱいであった夜だった。

時を越えて、自分が関わった子ども達の成長をみられることがとても嬉しくもあり
人と関わる仕事の尊さが心にしみた。

どんな子にも意味があり、価値がある。
どんなに失敗したり、回り道をしていたとしてもである。
それが意味あり、価値ある経験になるためには、人より少し時間がかかるだけのことである。
子どもといっしょに揺られながら、周りで関わる大人が待てるかが、子どもを救うのだろう。
いっしょに寄り添っていく存在があれば、きっと子どもは良くなる。
このことを経験からして学ぶことができた。
このことは、その後の私の学校における教育に大いに生かされている。
子どもに鍛えられるとはこういうことをいうのだろう。

A男には、心からありがとうと感謝する。
A男ならきっとどんな挫折を繰り返しても絶対に強く立ち向かえるはず!とエールを贈りたい。
A男が仕事にあぶらがのってきたとき、また二人で語り合いたいものだ。
4月のこの時期、たくさん別れがあるが、こんな嬉しい知らせもあるのだと元気をもらえる。
人生って、すばらしい!
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この記事のコメント

なんて言葉をかけていいのか
迷いました。
人間の中にある多面性と人とのかかわり合い
の難しさと喜びを私は感じました。
先日我が子が「先生になろうかな?」
と言った言葉 これって先生の影響なんでしょうね。
嬉しく思いました。
2009-04-17 Fri 19:39 | URL | つばめです #-[ 内容変更] | top↑
ありがとうございます!
教師をしていて、教職を夢みてくれることは、最高の励ましです。認められ感が高まりました。

人は回り道をしながら着実に強くなっていくんですね。
それをあせらないで見守れるか、一生忘れられない
経験となりました。
2009-04-18 Sat 07:42 | URL | とげとげ★先生 #-[ 内容変更] | top↑
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